【読書感想】「妄想国語辞典」息抜きにぜひ!くすっと笑えるあるある集
やっほー!
堕落した女子大生、雪野あずさです。
この前久しぶりに図書室に行ったら、すごく面白そうなタイトルを見かけました。
「妄想国語辞典」
ゆるっとしたフォントでそんなこと書かれている背表紙が目に入ったらもう。
気づいたら手が伸びちゃってますよ。
実をいうとわたくし雪野あずさ、辞典っていうのが好きなんですよね。
国語辞典や英和辞書みたいな紙の辞書だとぺらぺらってめくる感じが好きだし、
逆引き広辞苑みたいな言葉の新たな一面に気づかせてくれるような辞書も好き。
この本は完全に後者でしょ。
そう思ってわくわくしながらパラリとめくってみてびっくり。
写真が見開きでどーん。
スーツ着たサラリーマン風のおじさまが公園のまるい石でできたイスの上に座って虚空を眺めている写真が見開き1ページ。
え、辞典要素はいずこ。
あ、もしかして妄想してるとこ??
そして次のページ。
橋の上から斜め下のほうを見下ろす、さっきのひと。
えーと、辞典は??
私はなにゆえ中年男性が黄昏ているカラー写真を眺めているのでしょうか。
もうこの時点で意味わからなくてちょっと笑えて来るのですが。
写真の次のページからちゃんと文字が書いてありましたよ。
辞典要素が見えてきてホッと安心。
ずっと男性の写真だったらそっと棚に戻すしかなかった。
この本は野澤幸司さんというコピーライターの方がかいた、くすっと笑えるあるある集みたいな感じでした。
たとえば、ひとつ本文から抜粋いたしますと。
一瞬いい?
【意味】こみ入った相談のこと。
【例文】酒とギャンブルに溺れた友人から、「一瞬いい?」という電話があった。友人をやめようと思った。
何気ない日常のなかで、偶然であれ意図的であれ、文字通りの意味とは違った意味をはらむ言葉が生まれることってたくさんあると思うんですよ。
この、「一瞬いい?」みたいに。
いやいやいや、絶対絶対ぜーーーったい、一瞬じゃ終わらないでしょうその話、私お先に失礼してもよろしくて?って早口で言ってぴゅーっと帰りたくなるこの感じが伝わる人って、けっこういっぱいいるんじゃないですか?
そのひとつひとつを掬い上げて、言語化して、野澤さんの妄想も発揮しながら紡いだのが多分この本。
意味と例文の書き方や言葉選びもさすが言葉を生業にしているだけあって面白い。
面白いとしか書けない自分の語彙力が恥ずかしい、、、
ちなみに、出だしの写真の男性が著者の野澤さんだったみたい。
そして、この類の写真たちが息抜きみたいにたまーに挟み込まれています。
解説のようなエッセイというか、コラムも時々あって読みごたえがあります。
個人的には例文は辞書みたいにもっとすっきり一文とか短文にしてほしかったな。間違った使用例とか、類語とかも載ってるともっとわくわくするのになーと思いましたがこの辺りは読者の妄想に任せるぞ、ということでしょうかね。
ひとりでムフフ…と言葉に思いを巡らすのもたまにはいいかもしれません。
今日の本
妄想国語辞典
著者 野澤幸司
発行所 扶桑社
本体1000円+税
発行日 2019/06/09